中央政党の“政治的都合”に翻弄されない
「県民主体の県政」へ

兵庫知事選への対応 「連帯兵庫みなせん」からのアピール

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 7月1日に告示される兵庫県知事選は、これまでにない重要な選択になります。
 3月半ば以降、自民党兵庫県連の分裂に乗じて大阪維新と菅政権が全面的に介入してから、兵庫県民の県政の選択機会である知事選が、中央政党と菅政権の延命策が絡んだ“政局”に利用される選挙になってしまいました。さらに言うなら、大阪府・市政をこの10数年間混乱の渦に陥れてきた「大阪維新」という政党が、宿願でもある兵庫県の「首長制覇」の野望をこの機に乗じて一気に「県政奪取」をもくろむ選挙にしようとしています。
 大阪維新の府・市政は、昨年秋の2回目の「大阪都構想」(大阪市廃止)住民投票で市民を真っ二つに分断し、2回目の否決に終わった事例を持ち出すまでもなく、政党集団の“野望”を実現するためには手段を選ばず、府・市民の分断と対立を引き起こす「強権的な政治と行政手法」が特徴です。維新政治はこの10年余の間に、医療・保健、福祉、教育・文化、交通や水道などの公共サービスを「二重行政の廃止」や「行政のスリム化」を掲げた「行政改革」の名のもとに、統・廃合、廃止、削減、民営化、職員削減を推し進めてきました。その結果、コロナ禍の中で東京を上回る医療崩壊やコロナ感染死亡者を出すなど、府民の苦境を招いています。このような「大阪維新の府・市政」を兵庫県で再現させるわけにはいきません。
 また、自民党は安倍・菅政権のもとで、全国各地の知事選などで地元の意思を強引に捻じ曲げて保守分裂選挙をあえて生み出し、政権維持のために地元の意思を押さえつける強引な手法を繰り返してきました。今回の兵庫知事選でも、自民党県連が正当な手続きで決めた推薦候補の党本部への申請を、地元国会議員を動員して一夜で覆し、強引に「維新推薦」の候補を「自民党推薦」としました。15人の地元国会議員全員が一夜で県連の意思決定に反する対応をするのは、小選挙区選挙の制度の下で党総裁(菅首相)の公認権に抗えない制度のもとで生じたのは、容易に推測できます。
 菅首相は官房長官時代から日本維新の会を率いる松井代表と太いパイプでつながっていることは周知の事実です。今回の知事選候補者推薦決定の過程で、維新の思惑と菅政権の次期衆院選後の「自公維」連携による政権維持戦略が濃厚に絡まっていると見るのは、至極当然です。いわば、兵庫知事選が中央政党の「政局」に利用されているのです。

 私たちは、兵庫県政のリーダーを選ぶ知事選は、国政の“政局”に振り回されるのではなく、兵庫県の政策課題に立脚した県民の幸せを第一にした、県民主体の県政実現を図る知事を選ばねばならないと考えます。そのためには、地方自治や住民自治に対して中央政党が介入するのではなく、県民に支えられた「自立した地方自治」、中央政府の言いなりにならない「地方分権を貫く県政」をめざさねばならないと考えます。
 幸い、兵庫県はこの30年来、阪神・淡路大震災の経験も踏まえて「地方分権」と「住民自治」の県政をめざしてきた経緯があります。また自民党や維新がもくろんだ「中央集権的道州制」を拒否し、府県の連合体である「関西広域連合」の牽引役を担ってきました。この点でも、基本的な姿勢で自民党や維新とは真逆の指向性があります。
 もちろん、これまでの県政を検証し、問題点を是正していくことは大事ですが、その前に県政運営の基本的姿勢が全く異なる「維新と菅政権」の思惑優先で擁立された候補を、県政のリーダーにすることは断固避けねばなりません。
 中央政党の推薦を受けずに「県民党」として県政の継続、発展をめざす候補を、先ずは県政のリーダーに選ぶことを優先することを呼びかけます。今回選挙の最大の焦点は「反・民主主義的政治手法」「住民自治とは無縁の権力政治志向」「地方分権とは真逆の中央集権的志向」「地方自治の破壊」をもたらす維新に、県政を渡さないことにあります。

2021.6.28